なぜ入れ歯で発音がおかしくなるのか

聞きとりやすい発音は、さまざまな器官がそれぞれのほかの器官と調和をとって働いた結果です。発音に関連する器官に問題が起こると、バランスが崩れて調和も乱れてしまいます。入れ歯をすると、発音が少しおかしくなる場合があるのもこのためです。入れ歯は自然の歯ではなく作ったものなので、人間にとっては異物です。そのために、ほかの器官と発音のバランスがうまくとれず、発音がおかしくなるのです。

特に新しい入れ歯を入れたばかりのころは、異物に周囲の器官がなじんでおらず、はっきりとしない発音になることが多いです。しかしこれは慣れの問題です。入れ歯がその人に合っていれば、慣れるにしたがってやがて支障のない発音に近づきます。だいたい、初めて入れてから2~3週間で、ほとんど問題がない発音ができるようになります。もちろん入れ歯を作るときに、歯の並び方、噛み合わせの高さ、大きさや安定度なども明瞭な発音にとってたいへん重要です。

もし、入れ歯をしてから何ヶ月も発音がおかしいと思った場合は、入れ歯自体に問題があると考えられます。例えば、その原因の一つとして、義歯床の厚さや、前歯の裏側の舌の触れる場所が、S状隆起と呼ばれる階段状になっているかどうかも、発音に影響します。また、舌がスムーズに動くために噛み合わせや高さや並びが大きく影響しますので、歯医者さんでみてもらいましょう。

少しでも早く正常な発音に近づけたいと思われるのならば、新聞や本の音読を習慣づけることがおススメです。声を出して読むことで、入れ歯が舌をはじめ、発音に関係するさまざまな器官の働きに慣れてきます。入れ歯をしている人は「さ行」の「さしすせそ」と「た行」の「たちつてと」の発音が不明瞭になる場合が多いようです。音読するときは、これらの発音に注意しながらトレーニングしましょう。