長寿国なのに歯の寿命は短い日本

日本は、全世界の中でもトップクラスの長寿国です。平均寿命は80歳を超え、5人に1人が65歳以上という超高齢化社会に突入しています。

ですが、高齢者の残存歯数を見てみると、世界の先進国と比べて、日本は決して高くありません。特に、中高年以降になると歯周病などで急速に歯を失う人が多くなることから、日本政府や日本歯科医師会などではかねて「8020(ハチマルニイマル)運動」を提唱し、推進してきました。

 8020とは、「80歳になっても自分の歯を20本残そう」という運動です。厚生労働省が実施している「平成21年度国民健康・栄養調査」によると、75歳~84歳で自分の歯が20本以上ある人の割合は26.8%しかおらず、前回の調査(平成16年度)に比べて3.8ポイント増加しているものの、十分とはいえない状況です。この残存歯数にはインプラントは含まれませんが、移植した歯は含まれます。

 ところで、日本では歳をとるごとに歯は平均どれぐらい減っていくかご存知ですか?財団法人8020推進財団が監修した「守ろう歯の健康!」によると、1人あたりの平均歯数は、20歳で29本、30歳で28本、40歳で27本となっています。つまり、40歳までは平均すると、10年でほぼ1本ずつ減っている計算です。10本で1本ならたいしたことないか、と思うかもしれません。ところが、40歳を境に歯が減るスピードは急速に加速し、50歳では24本、60歳で18本、70歳で12本と歯はどんどん少なくなっていきます。

 高齢になると歯が抜けてしまう最大の要因は「歯周病」です。日本ではじつに、成人の8割が歯周病にかかっていると言われています。歯周病はあなどれない病気です。歯周病の初期にはまず、歯肉炎と呼ばれる炎症が起こります。その炎症を放置していると、歯と歯周の間に「歯周ポケット」と呼ばれる溝ができ、その歯周ポケットの中に棲みついた歯周菌病が毒素や酵素を分解して歯ぐきや骨を溶かしていきます。歯周病は歯肉の表面から奥へと進み、しまいには歯を支える骨までも破壊します。最近では、この歯周病菌が血管内を巡って動脈硬化を引き起こし、心臓病の原因になることもわかってきています。また、妊娠中に歯周病になると、早産や低体重児出産にリスクが7倍になることも指摘されています。

また、歯が数本抜けてしまった時の早めの対処も大切になります。歯が数本抜けてしまうと、口腔内のバランス、歯並びなどのが崩れてきます。そのような口腔内の症状を抑えるためにも部分入れ歯などを製作し、口腔内のバランスを整えることが大切になります。歯が一本抜けてしまいますと、歯と歯の間に隙間が生まれ、その隙間の方に歯が傾いてきてしまうのです。歯が抜けてしまった時は、すぐに歯科医院に行き診察してもらうことが大切です。

 年をとっても若々しく、健康でボケることなく過ごすには、しっかり噛んで食べること。そのためには、健康な歯を少しでも多く残しておくことが大切です。また歯が抜けてしまっても早めに入れ歯をお口に入れることで素敵な生活を送ることは可能にあります。